freee会計は、他の会計ソフトとは異なり様々な入力方法があります。
従来の会計ソフトに親しんだ方は、仕訳形式での入力に慣れているかもしれません。しかしながら、freeeをご利用の場合、仕訳形式で入力をしていては効率化がされないとも言えます。よってfreeeでは、決算整理仕訳等の一部の仕訳入力時にのみ、仕訳形式で入力をする「振替伝票」の利用を推奨しています。
では、freeeでは、どんな入力方法があるのでしょうか?
freeeには、大きく分けて4つの入力パターンがあります。
その自由度ゆえに、使い分けに悩まれるアドバイザー様も多いかと思います。
以下に、仕訳の種類ごとにfreeeの入力方法を整理した図があります。
一番右には、どのようなケースにその入力方法が適しているかを記載しています。
例えば現金預金仕訳ついて、件数が多かったり、債権債務の入金支払いが多い場合には、「自動で経理」での入力をおすすめしています。
この記事では、上の図を用いながら、入力したい仕訳ごとに、どのケースにはどの入力方法が適しているのかを解説していきたいと思います。
「freeeは使い方がよくわからないから、とりあえず振替伝票で入力している...」
そんな状態を脱し、より効率的に入力する方法を学んでいきましょう。
顧問先様へのご案内時や、自社で記帳代行を行っている場合等に参考にして頂ければと思います。
もくじ
1-1. 自動で経理
1-2. ファイルボックス
1-3. 連続取引登録
2-1. 掛け仕訳の計上
2-1-1. エクセルインポート
2-1-2. 外部データ同期
2-1-3. 連続取引登録
2-2. 消し込み
2-2-1. 自動で経理
2-2-2. 手動で消し込む
3-1. 掛け・未払い仕訳の計上
3-1-1. エクセルインポート
3-1-2. 自動で経理
3-1-3. 連続取引登録
3-2. 消し込み
3-2-1. 自動で経理
3-2-2. 買掛レポート
3-2-3. 取引の一覧
1. 現金預金
1-1. 自動で経理
こんな場合におすすめ
- 取引件数が多い
- 債権債務の入出金が多い
freeeでは、銀行口座やクレジットカードを同期することにより、日付、金額、摘要情報を取り込むことができます。
明細を取り込んだ後は、「自動で経理」を使って帳簿付けをしていきます。
「自動で経理」では、100万事業所以上から集まってくる仕訳データ等のビッグデータをAIに学習させ、自動で仕訳を推測してくれます。
この「自動で経理」を利用する際、「この内容の明細は、この勘定科目、摘要(取引先、品目、部門等のタグ)で帳簿付けする」というルール(自動登録ルール)を作成すると、帳簿付けを自動化できます。
この際、ダイレクトに帳簿付けをするのではなく、入力内容を推測させるように設定することもできます。
また現金出納帳をエクセル等でつけている場合、「明細アップロード」を使って出納帳の内容をfreeeに取り込むことができます。取り込んだ後は、「自動で経理」で帳簿付けができます。
このように、「自動で経理」では、現預金取引の帳簿付けを自動化していくことが可能ですので、入出金件数が多く、効率化をはかりたい場合にダントツでおすすめです。
さらに、「自動で経理」には、債権債務の入出金が合った場合に、自動でマッチする債権債務を発見する「入出金マッチ」という機能があります。債権債務の入金支払いが多い場合には、消込の帳簿付けが大きく効率化されます。
なお「自動で経理」は、「通帳データ化サービス」を使えばインターネットバンキングがなくても利用が可能です。
「通帳データ化サービス」は、預金通帳の画像データをfreeeにアップロードしていただければ、弊社側でデータ化をおこなうアウトソーシングサービスで、インターネットバンキングを持たない顧問先の仕訳自動化も実現できます。
「通帳データ化サービス」の料金等詳細については、こちらをご確認ください。
<参考ヘルプ等>
「自動で経理」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
1-2. ファイルボックス
こんな場合におすすめ
- レシートが大量にある
- スマホで帳簿付けしたい
- スキャナが高性能
レシートが大量にある場合には、証憑と仕訳を紐づけて登録できる「ファイルボックス」を活用できます。
スマートフォンで撮影、またはスキャナでスキャンしたレシート類をfreeeに取り込むと、レシートの金額や日付はOCR機能で自動で推測されます。
OCRの精度について、サービス開始当初は課題もあり、「結局打ち込んだほうが早い」というような場合もございました。
しかしfreeeでは、最近では特にiPhone向けのアプリ開発に力を入れており、読み取り精度が97%まで向上しました(2018年1月時点 会計freee iOSアプリのレシート読み取り機能が大幅アップデート。 読み取り機能/OCRエンジンの改善により、読み取り精度が97%に向上)。
スキマ時間等を使ってスマートフォンで帳簿付けをしたい方に「ファイルボックス」はおすすめです。また、以下のようなスペックのスキャナをお持ちの場合も、精度高くレシート情報を読み取ることができます。
高性能のスキャナをお持ちの方は、「ファイルボックス」で一気に取り込んだ証憑を「連続取引登録」で帳簿付けすることをおすすめします。
Kodak i2900 |
Kodak i2620 |
PFU ScanSnap ix500 |
||
外観 |
|
|
|
|
対応定形書類サイズ |
A4 |
A4 |
A4 |
|
標準価格(税抜) |
¥278,000 |
¥109,000 |
¥48,000 購入サイトはこちら |
|
読取方式 (両面 / A4 / 白黒) |
原稿搬送(ADF) 原稿固定(フラットベッド) |
原稿搬送(ADF) |
原稿搬送(ADF) |
|
イメージ |
デュアル CCD |
CCD |
CIS |
|
読取速度 |
60枚 / 分 |
60枚 / 分 |
25枚 / 分 |
|
最大フィーダ容量 |
250枚 |
100枚 |
50枚 |
|
特徴 (弊社所感) |
- 3機種の中では 最も詰まりづらい 。Kodak機は詰まりづらいことで業界でも有名 (Kodak談) - 原稿固定も一台でカバー 。公共料金等の小さな証憑は原稿搬送に不向きなため原稿固定を利用。 - 大容量 。容量はスキャン作業の業務効率に直接影響する。 - 専用ソフト(別売)の設定をすることで、 顧問先別フォルダへの自動振分も可能 に。 - 3機種の中では 最も高価 。 |
- i2900と同等の読取速度 。 給紙方法や紙の材質によっては詰まりを起こすこともある 。 - 専用ソフト(別売)の設定をすることで、 顧問先別フォルダへの自動振分も可能 に。 - 性能に対する価格という観点で コストパフォーマンスは高い 。 |
- レシートの場合、 給紙にはかなり気を遣わないと詰まりやすい 。 - BtoB向けではないため、 読取速度や容量ではKodak機に劣る 。 - 3機種の中では 最も安価 。 より小型で持ち運び可能なix100タイプもあります |
<参考ヘルプ等>
「ファイルボックス」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
1-3. 連続取引登録
こんな場合におすすめ
- 既存会計ソフトと同じように入力したい
- ITスキルに自信がない
「連続取引登録」では、現金出納帳形式で、クラウドでも打ち込みがスムーズに、テンキー操作のみで入力が可能です。既存の会計ソフトでの入力に慣れていて、どうしても新しい入力画面に馴染めない方や、PCの利用に不慣れでITスキルに自信が無い方には、こちらの入力方法を推奨しております。
<参考ヘルプ等>
「連続取引登録」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
2. 売上
2-1. 掛け仕訳の計上
2-1-1. エクセルインポート
こんな場合におすすめ
- Excel等で売掛台帳をつけている
- 販売管理ソフトを利用している
Excel等のツールで売掛台帳をつけている場合には、「エクセルインポート」を使って、データをfreeeに取り込む方法が便利です。
また、販売管理ソフトを利用している場合にも、販売管理ソフトからcsvデータ等をエクスポートし、freeeにインポートしてみましょう。
<参考ヘルプ等>
Excel・販売管理ソフトからデータを取り込む(エクセルインポート)
「エクセルインポート」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
2-1-2. 外部データ同期
こんな場合におすすめ
- レジアプリを導入している
- Amazon等の売上がある
freeeでは、店舗の売上データ、電子マネーの利用明細等、いろいろな外部サービスのデータを自動で取り込むことができます。
スマレジやAirレジ等のレジアプリを導入している場合や、AmazonやYahooショッピング等で売上がある場合には、freeeと同期させてみましょう。
自動で売上データを取り込み、簡単に帳簿付けをすることができます。
<参考ヘルプ等>
「エクセルインポート」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
2-1-3. 連続取引登録
こんな場合におすすめ
- 既存会計ソフトと同じように入力したい
- ITスキルに自信がない
「連続取引登録」では、出納帳形式で入力できますので、クラウドでもテンキー操作のみでスムーズに入力できます。
既存の会計ソフトでの入力に慣れていて、どうしても新しい入力画面に馴染めない方や、PCの利用に不慣れでITスキルに自信が無い方には、こちらの入力方法を推奨しております。
<参考ヘルプ等>
「連続取引登録」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
2-2. 消し込み
2-2-1. 自動で経理
こんな場合におすすめ
- 得意先ごとに売掛金残高を把握している
- 預金への債権入金が多い
- 債務との相殺や値引き等がある
- 手数料を差し引いて入金されることがある
現金・預金に債権の入金が多い場合には、「自動で経理」を使っての消し込みをおすすめします。
「自動で経理」の「未決済取引の消込」を利用すると、債務との相殺や値引きがあった場合、<手数料を差し引いて入金された場合の仕訳も、簡単に入力することができます。
このように得意先ごとに売掛金残高を把握している場合には、「自動で経理」を使えば個別に債権管理ができ、煩雑な残高確認作業が効率化されます。
手動で消し込むよりもかなり記帳時間が短縮されますので、ぜひマスターしてください。
<参考ヘルプ等>
「自動で経理」を使った消し込み方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
2-2-2. 手動で消し込む
こんな場合におすすめ
- 売上債権の計上数が少ない
売上債権の計上数が少ない場合には、手動で消し込む方法でも問題ありません。
「売掛レポート」や「取引の一覧」から、消し込みたい債権を絞り込み、「決済を登録」していきます。また、「取引の一覧」では、複数債権の消し込みを一括で「決済済みにする」ことも可能です。
<参考ヘルプ等>
手動での消し込み方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
3. 仕入・経費
3-1. 掛け・未払い仕訳の計上
3-1-1. エクセルインポート
こんな場合におすすめ
- Excel等で買掛台帳をつけている
- 仕入管理ソフトを利用している
Excel等のツールで買掛台帳をつけている場合には、「エクセルインポート」を使って、データをfreeeに取り込む方法が便利です。
また、仕入管理ソフトや支払い管理ソフトを利用している場合にも、ソフトからcsvデータ等をエクスポートし、freeeにインポートしてみましょう。
<参考ヘルプ等>
Excel・販売管理ソフトからデータを取り込む(エクセルインポート)
「エクセルインポート」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
3-1-2. 自動で経理
こんな場合におすすめ
- クレジットカード取引がある
- AmazonなどでECサイトでの消耗品等、購入がある
クレジットカードで経費の支払いを行っている場合には、クレジットカードをfreeeと同期し、「自動で経理」で帳簿付けを行いましょう。
取り込まれたクレジットカード明細を帳簿付けしていくことで、消耗品/未払金(クレジットカード)等と仕訳が切られますので、発生主義での経費計上が可能です。
またAmazonなどのECサイト、インターネット通販経由で経費がある場合は、購入履歴をfreeeに取り込み、「自動で経理」での記帳がおすすめです。この場合、詳細な購入明細が取り込まれますので、勘定科目のはめ込みに悩むことなく仕訳をおこすことができます。
<参考ヘルプ等>
3-1-3. 連続取引登録
こんな場合におすすめ
- 既存会計ソフトと同じように入力したい
- ITスキルに自信がない
「連続取引登録」では、出納帳形式で入力できますので、クラウドでもテンキー操作のみでスムーズに入力できます。
既存の会計ソフトでの入力に慣れていて、どうしても新しい入力画面に馴染めない方や、PCの利用に不慣れでITスキルに自信が無い方には、こちらの入力方法を推奨しております。
<参考ヘルプ等>
「連続取引登録」の利用方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
3-2. 消し込み
3-2-1. 自動で経理
こんな場合におすすめ
- 支払先ごとに買掛金・未払金残高を把握している
- 預金からの債務支払いが多い
- 債権との相殺や値引き等がある
- 手数料を差し引いて支払いをすることがある
現金・預金からの債務支払いが多い場合には、「自動で経理」を使っての消し込みをおすすめします。
「自動で経理」の「未決済取引の消込」を利用すると、債権との相殺や値引きがあった場合、手数料を差し引いて支払いをした場合の仕訳も、簡単に入力することができます。
このように支払先ごとに買掛金・未払金残高を把握している場合には、「自動で経理」を使えば個別に債務管理ができ、煩雑な残高確認作業が効率化されます。
手動で消し込むよりもかなり記帳時間が短縮されますので、ぜひマスターしてください。
<参考ヘルプ等>
「自動で経理」を使った消し込み方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
3-2-2. 買掛レポート
こんな場合におすすめ
- 総合振込を利用している
- インターネットバンキング経由の振込が多い
「買掛レポート」では、インターネットバンキングにデータを連携して振込を行うことができます(個人スタンダード、法人ベーシックプラン以上のみ)。
この機能を使って振込データを作成すると、作成後にワンクリックで消し込みの仕訳をおこすことができます。インターネットバンキング経由の振込が多い会社や、総合振込を利用している会社には、この機能を使い、消し込み仕訳の帳簿付けまで自動化することを提案してみましょう。
<参考ヘルプ等>
インターネットバンキングにデータを連携して振込を行う(総合振込・振込連携)
買掛レポートから総合振込ファイルを作成する方法や、その後の消し込み方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
3-2-3. 取引の一覧
こんな場合におすすめ
- 買掛金・未払いの計上数が少ない
買掛金・未払いの計上数が少ない場合には、手動で消し込む方法でも問題ありません。
「買掛レポート」や「取引の一覧」から、消し込みたい債務を絞り込み、「決済を登録」していきます。
また、「取引の一覧」では、複数債務の消し込みを一括で「決済済みにする」ことも可能です。
<参考ヘルプ等>
手動での消し込み方法をおさらいしたい方は、アドバイザーガイドをご確認下さい。
4. その他仕訳
4-1. 振替伝票
振替伝票で入力する仕訳(主なもの)
- 決算整理仕訳
- 修正仕訳
- 資産の売却時の仕訳
- 資産の評価下げの仕訳
- 未払法人税等、未払消費税等の認識の決算仕訳
以上見てきたように、freeeでは日常的なほとんどの仕訳を、「振替伝票」以外の方法で入力することで、記帳作業の効率化が実現されます。
ただし、決算整理仕訳等一部の仕訳については、「振替伝票」で入力します。
<参考ヘルプ等>
4-2. 固定資産台帳
固定資産台帳から自動計上される仕訳
- 減価償却費
- 資産の除却
減価償却費は、固定資産台帳に資産を登録していれば自動で計上されます。減価償却費は、年次で計上するか、月次で計上するかを選択することができます。
また、資産の除却があった場合も、固定資産台帳で除却の処理をすれば、除却仕訳も自動計上するように設定ができます。
<参考ヘルプ等>
5. まとめ
以上、入力したい仕訳ごとに、どの入力方法が適しているかを見ていきました。最後にもう一度、仕訳の種類ごとにfreeeの入力方法を整理した図を確認しましょう。
「スモールビジネスを、世界の主役に。」
freeeは他の会計ソフトとはまったく違うコンセプトのもと、「スモールビジネスが強く、かっこよく活躍する社会」を実現できるよう、日々走り続けています。
まずは日々の記帳作業から。
既存の会計ソフトのやり方にとらわれず、あなたに合った方法で、業務効率化を目指していきましょう。
◇◇◇◇
監修:竹市会計事務所 竹市真由香(税理士・MBA)
慶應義塾大学経済学部卒。昭和44年創業、老舗会計事務所の3代目税理士。自所内業務にfreeeを導入し、2年間でおよそ100%の業務置き換えを達成。クラウド会計専門税理士として、中小企業のデジタル変革をサポートするほか、各種セミナーや執筆活動にも取り組んでいる。
HP: https://takeichi-zei.com/
Twitter: https://twitter.com/mayuca317
◇◇◇◇
コメント
0件のコメント
記事コメントは受け付けていません。