決算編では、freee会計での決算作業について学習してきました。
freeeを使用した法人の決算・申告業務の大まかな流れは以下のようになります。
申告編では、freee会計での決算作業完了後、freee申告領域に該当する申告書の作成や電子申告の流れについてご案内します。
※freeeで法人税の電子申告まで行う場合は、freee申告の契約が必要となります。
freee申告を利用せず、他のソフトで申告を行う場合は、freee会計で作成した決算書データを他のソフトに連携もしくは転記いただく必要がございますので、ご注意ください。
1.freee申告で法人税・地方税の申告書を作成する
1-1.法人税の対応帳票について
1-2.freee申告の初期設定を行う
1-3.申告書を作成する
1-3-1.freee会計と連携する
1-3-2.別表間での数値の連動を確認する(項目マップ)
1-3-3.勘定科目内訳明細書を作成する
1-4.その他の機能を利用する
1-4-1.コメント機能を利用する
1-4-2.税目の切り替えを行なう
1-4-3.申告書をPDFで出力する
1-4-4.納税額一覧表で税額を確認する
2.freee申告で電子申告送信・結果確認を行う
2-1.電子申告用の決算書を作成する
2-2.電子申告の準備を行う
2-3.電子申告データを準備する
2-4.電子申告を行なう
2-5.電子申告送信結果の確認をする
2-6.電子納税を行なう
1.freee申告で法人税・地方税の申告書を作成する
freee会計で決算作業が完了したら、freee会計の情報をfreee申告に連携し申告書の作成を行います。
freee会計のメニュー「決算」→「法人税申告」もしくは、freee申告の税目選択画面(https://secure.freee.co.jp/ctax/#/)から遷移できます。
※こちらのメニューはfreee申告をご契約の方にのみ表示されます
1-1.法人税の対応帳票について
freee申告は、国税・地方税・その他の添付書類を作成することができます。
現在対応している主な別表は以下の通りです。
現在の対応帳票の一覧は、以下のページよりご確認ください。
また、現在、freee申告では以下のような処理には未対応となります。
- 償却資産申告
- 法人税・消費税・所得税の修正申告
- 法人税・消費税の中間申告
- 法人税 外形標準課税
- 法人税 公益法人・協同組合・医療法人の申告
未対応の帳票に関しては、他社の申告ソフトやe-taxなどで別途作成・申告をお願いいたします。
1-2.freee申告の初期設定を行う
freee申告に遷移したら、最初に初期設定を行いましょう。
メニュー「基本情報」を開くと「基本情報」「申告情報」「税理士情報」の3つのタブが表示されますので、設定したい内容に応じてタブを選択し、設定を行います。
基本情報
ここでは「電子申告関連情報」の「利用者識別番号(e-Tax)」と「利用者ID(eLTAX)」を忘れずに設定します。
また「電子申告の制約を満たしているか帳票編集時にチェックする」の項目は、電子申告送信の際にエラー原因となる、半角や文字数制限などをリアルタイムでチェックする機能となるため、「はい」にしておくことをおすすめします。
代表的なスキーマチェックの例は以下の通りです。
スキーマチェックエラーの解消方法はこちらもご参照ください。
申告情報
申告情報では、「所轄税務署」と「還付を受けようとする金融機関等」の設定を行いましょう。
金融機関の情報を入れていないと、還付の際に戻す口座がわからず、別途手続きが必要になってしまいますので注意します。
税理士情報
税理士情報の内容は、「freee顧問先管理」と連携することで自動入力が可能となります。
freee顧問先管理の設定はこちらのページで確認できるので、あわせて設定を行いましょう。
事業所情報
基本情報の設定が完了したら、地方税の申告に必要な本店や支店の設定を行います。
こちらで入力された情報を元に、6号様式や20号様式が追加され、地方税の計算が行われます。
1-3.申告書を作成する
基本設定が完了したら、申告書の作成に進みます。
freee申告メニュー「申告書作成」から作成画面を開くことができます。
freee申告では、freee会計から自動連携される箇所があらかじめ設定されており、二重転記をできるだけ省略する仕様になっています。
連携されない項目は直接手入力することも可能です。
例えば、freee会計で固定資産台帳を登録している場合の別表16(1)、(2)や、交際費の計上がある場合の別表15など、freee会計から連動する項目があれば、自動的にfreeeが帳票を選択してくれています。
また、別表4や5(1)など、基本的な別表は自動で作成中の申告書に追加されます。
他に必要なものは、画面左上の「+申告書を選択する」から適宜追加します。
ここからは、freee申告の基本的な機能を見ていきましょう。
1-3-1.freee会計と連携する
freee申告では、初期値としてfreee会計から連携されている項目もありますが、任意の項目を連携することもできます。
初期値としてfreee会計から連携される項目の例としては、別表四(簡易様式)/ 1-1.当期利益または当期欠損の額 - 総額別表十五/ 交際費 支出額や、事業概況説明書の表面などがあります。
任意項目としては別表十一(一の二)/売掛金期末残高などが連携いただけます。
初めてfreee会計からfreee申告に遷移したタイミングで情報連携が行われますが、初回連携以降に修正や追記によりfreee会計側の数字が変わった場合は、「会計連携の確認・設定」より再連携を行います。
また、連携は勘定科目ごとやタグごとに行うことも可能です。
ただし、会計連携を実施した項目についてfreee申告上で数字を変更したあとに会計連携を実施すると、再度freee会計の情報に内容が上書きされますのでご注意ください。
1-3-2.別表間での数値の連動を確認する(項目マップ)
freee申告では、関連する別表間の数値の連動を表示する「項目マップ」という機能があります。
申告書上で項目マップを確認したい箇所を選択すると、以下のように関連する別表類が表示されるようになります。
青く色がついている箇所が現在選択している申告書の項目となり、一番上が転記元となります。
転記元や連携先の別表を選択すると、該当の項目に画面が切り替わるようになります。
1-3-3.勘定科目内訳明細書を作成する
勘定科目内訳明細書は、他の別表類と同様に「+申告書を選択する」から追加することができます。
「試算表を連携」を行うと、freee会計の試算表より情報を取得します。
freee会計上で売掛金や買掛金などの仕訳に取引先を付与している場合は、取引先別に期末残高を連携することが可能です。
freee会計からfreee申告の勘定科目内訳明細書への連動仕様例は以下の通りです。
全ての連動仕様はこちらをご参照ください。
1-4.その他の機能を利用する
1-4-1.コメント機能を利用する
freee申告では、申告書の各項目にコメントを付すことが可能です。
コメントは一覧形式で表示させることもできるため、作業の進捗状況をメモして付箋のように使ったり、複数人で作業・チェックをしている場合はお互いの連絡手段として活用いただけます。
1-4-2.税目の切り替えを行う
freee申告には、いくつかの税目が用意されております。
各税目は、freee申告画面上部の「税目申告」から切り替えを行えます。
1-4-3.申告書類をPDFで出力する
各種帳票はPDF形式出力が可能です。
1-4-4.納税額一覧表で税額を確認する
必要な申告書の作成が完了したら、別表一の画面左上「納付状況」から納税額一覧表を確認できます。
2.freee申告で電子申告送信・結果確認を行う
2-1.電子申告用の決算書を作成する
会社法の決算書と電子申告の決算書はe-taxの仕様により様式が異なるため、freee申告上で電子申告の様式に変換する設定を行います。
基本的には「会計から決算書を連携する」をクリックすることでfreee会計から連携が行われますが、株主資本変動計算書の一部と個別注記表は入力が必要な箇所があるため、ここで作成を行います。
2-2.電子申告の準備を行う
申告書の作成後、freee申告から電子申告を行います。
電子申告を行う前に、あらかじめwindowsのパソコンにfreeeの電子申告アプリをインストールしていただく必要があります。
freee申告メニュー上の「電子申告」→「電子申告送信」画面最下部にアプリをダウンロードできるリンクが表示されていますので、クリックしてダウンロードを行います。
2-3.電子申告データを準備する
送信前に、各税目ごとにエラーがないか送信チェックを行います。
送信対象の税目が緑の「送信準備完了」になるとfreeeによる電子申告の送信ができるようになります。
2-4.電子申告を行う
送信チェックが完了したら、電子申告データを送信することができます。
電子申告データの送信は、一括電子申告機能を使えば複数事業所まとめて行うことも可能です。
2-5.電子申告送信結果の確認をする
freee申告で電子申告した結果は、freee申告メニュー上の「電子申告」→「電子申告一覧」からご確認いただけます。
この画面では、受付完了通知、送付書ダウンロード、申告書(タイムスタンプ付き申告書)を出力できます。
2-6.電子納税を行なう
電子申告後の電子納付については、国税・地方税ともに、freee申告の電子申告一覧の結果確認画面から納付の情報を確認・登録ができません。
そのため、電子申告完了後にe-Taxソフトのメッセージボックスや、eLTAXソフトのPCdeskから送信結果を表示させ、そちらで情報を確認・登録します。
3.freee会計で1年間の帳簿を確定させる(年度締め)
決算・申告完了後は、freee会計で翌期繰越を行います。
繰越を行う前に、仕訳帳や総勘定元帳、試算表などの必要書類を出力しておきましょう。
freee会計には「バックアップ」という機能がありますが、その画面で出力できるデータは勘定科目と摘要(取引先・品目・部門)のみとなりますのでご注意ください。
仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿は、freee会計上の各レポートメニュー画面右上「エクスポート」より出力いただきます。
最後に、「決算」→「年度締め」から帳簿を確定します。
この操作を行うことで、翌年度への残高の繰り越しが行われます。
法人税・地方税の申告の流れに関しては、freee申告の法人税機能を解説したウェブセミナーの動画と資料がございますので、ぜひこちらもご覧ください。
【研修会動画】20200626開催_会計事務所向け法人税のfreee申告ウェブセミナー
監修者紹介
監修:竹市会計事務所 竹市真由香(税理士・MBA)
慶應義塾大学経済学部卒。昭和44年創業、老舗会計事務所の3代目税理士。自所内業務にfreeeを導入し、2年間でおよそ100%の業務置き換えを達成。クラウド会計専門税理士として、中小企業のデジタル変革をサポートするほか、各種セミナーや執筆活動にも取り組んでいる。
HP: https://takeichi-zei.com/
Twitter: https://twitter.com/mayuca317
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